ヒノキ成分の研究結果
ヒノキの成分がもつ効用は、さまざまな分野で明らかになりつつある。しかしながら、ヒノキのどの成分がどのような性質をもち、従って人間のからだにどのように影響を与えるのか、という一貫した流れについては、まだこれからの研究課題のようだ。そんな中で、各種メディアで報告されているヒノキ成分についての研究成果を、ダイジェストで紹介したい。
抗菌・抗がん作用木曽ヒノキ成分に近いヨシキソール
(信濃毎日新聞1997年)
木曽ヒノキから抽出した植物油の科学的追求を続けている信州大学医学部第二生理学教室の小山省三教授のグループは、木曽ヒノキの自然成分に限りなく近いと見られる新しい物質の構造を特定し、合成に成功した。ヨシキソールと名づけたこの物質は、従来の薬剤と違う独特な抗菌、抗がんメカニズムを持っていることも突き止めた。O157、院内感染が問題になっているMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの感染症の予防、新しいタイプの抗がん剤などへの活用が期待される。
ヒノキ成分のローションでMRSA対策
(朝日新聞1993年)
院内感染が問題となっているMRSAの予防策に、天然ヒノキの成分を含んだ市販の薬用ローションが高い効果を発揮することが、京都第一赤十字病院(京都市東山区)の加賀美潔・皮膚科部長(当時)らの研究でわかった。医師や看護婦が手軽に消毒液として使え、MRSA対策のひとつとして関係者の注目を集めそうだ。
ヒノキ成分使い安価にディーゼル排ガス「無害化」
(読売新聞2002年)
ヒノキに含まれる揮発成分を使って、ディーゼル車の排ガスに含まれる有害物質ディーゼル排気微粒子(DEP)を除去し、無害化する浄化装置を、産学協同の研究チームが開発した。東京都が来年10月から導入するディーゼル排ガス規制値をクリアする性能で、価格も従来の10分の1程度になるとしている。ディーゼルエンジンでは、安価で高性能の浄化装置の開発が大きな課題となっており、この装置の登場は注目を集めそうだ。
ヒノキの抽出成分でMRSA抑制効果
(日本経済新聞1993年)
ヒノキやヒバ材から抽出した成分が、いま全国の病院で「院内感染を引き起こし問題になっているMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の発育を抑えることがわかった。国立小児病院の板倉洋司・アレルギー医長らは17・18日の両日、京都で行われる第30回日本小児アレルギー学会で結果を発表する。MRSAなど黄色ブドウ球菌は、アトピー性皮膚炎を悪化させるこも知られておりい板倉医長らは「臨床実験を重ねて実用化を目指したい」としている。